PTAは自分たち次第

 PTAは、お子さんがより充実した学校生活をしていただけるように学校の教職員を支援する役割があります。各学校のPTAは通称「単P」と呼ばれ、それぞれの学校の運営をより良くするためにサポートします。学校の教職員の方々と連携しながら助け合って、より良い支援に努めます。役員は役員だけの仲間感を出しすぎたり、特権意識で上からになりすぎないような配慮が必要です。PTAは上下関係や特権意識を持ちすぎず、全体を配慮する姿勢あってこそ豊かな役割を果たせます。根本は人間関係なので、その配慮が不足するとPTA不要といった論に進んでしまうときもあります。しかしPTAがなくなると学校運営への支援がなくなり、学校としても困難な状況になることも考えられます。PTAが必要か不必要かではなく、「必要なPTA」であるための「配慮ある組織のありかた」があって、善意の組織であり続ければ不要ということはないと思います。
 また学校施設整備にしても、設置主体である市町村の予算がないとその整備もなかなか実現しません。現場の声を行政に届けるとなればその自治体に住む住民の声として要望することが健全です、その声をまとめていくのも郡市PTAの役割です。学校の教職員の方々や複数校の実状を意見交換して、必要ならば地域の団体と協力しながら、子どもたちの教育環境整備へと声をあげるからこそ実現に向かい始めます。郡市PTAの果たすべき役割を郡市PTAが果たさないと、教育環境整備はなかなか進まない可能性もあります。
 和便器か洋便器か、エアコン設置、法律専門家の設置、部活動外部委託、校務のDX化、非常勤講師の確保、登下校見守りや校内動植物の世話や細かな修繕などの外部委託など予算や労力が必要なことがらはたくさんあります。すべて教職員が任せればいいというほど、各学校各自治体に人材が豊富にいるわけではありません。
 困ったときはお互い様、の精神で地域は支えられてきました。今大人の保護者世代もその地域力に支えられて大きくなってきました。わが子が学齢期の今はどうしても地域力の一端を担う必要もあります。ただ前述したように組織をまとめる役員の在り方によっては、組織をまとめられず、信任も得られず、PTAはいらないという風に論が発展してしまいます。
地域愛や助け合いという善意でPTAが組織され、地域の子育てや地域の教育を明るくしていく、そんな声掛けや励ましあいで、「人にやさしく」で活動し、それぞれのお仕事や家庭環境に寛容な配慮を示しながら、お互いに感謝の気持ちを言葉にして活動を行っていくことで、そのPTAとその地域の子どもはとても素晴らしくかけがえのないときを過ごすことに繋がるでしょう。

安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)

[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中

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