PTAが必要かどうか、このような議論が世間ではよく聞かれます。
なりたくない、大変なだけ、何をやっているのかよくわからない、特に郡市PTA連合や県PTA連合などなおさら何のためにあるのかよくわからない、そういう声は多いと思います。
まず各小中学校のPTAのことを単位PTA(単P)と呼ぶのですが、単Pの役割は各々の小中学校の手助けが主な役割になるでしょう。実は今、全国で3000人にも及ぶ教職員が不足しているのをご存じでしょうか?教職員の方々の業務が多すぎて離職が増える一方であり、さらには教職員志望者が年々どんどん減っているのです。その影響でなかには教頭先生が担任を持たざるをえなかったり、初任の教職員なりたての教職員がいきなり担任を持たざるをえなかったりします。一般企業でも人材不足が嘆かれていますが、学校現場でも同様のことが起こっています。しかし保護者や地域社会は多くの問題解決を学校に求めますが、もはや学校の許容量をオーバーしている状態も多くあります。そのことが先述の教職員の離職や志望者減少に繋がっていたりしています。もはやこれ以上教職員が不足すると学校の運営自体が難しくなるケースもあります。保護者も近所の身近な学校が機能不全になれば、わが子を思い心配となるところだと思います。そうならないためにも地域全体で公立の小中学校を支えていく必要があることは言うまでもありません。全国を見ても、保護者が積極的に地元小中学校を助けている地域は教職員の方々もなんとか離職もせずに頑張っておられます。そんな文化を醸成していくのに主役となっているのは単位PTAです。そのことで子供たちも日々の学校生活が笑顔で送れていることに繋がります。
各単Pの代表が集まって、その郡市の郡市PTA連合(協議会)を形成するわけですが、この会があるからこそ他校の取組が聞けたり、自分の学校との差異が明確になったりします。さらに場合によっては小中学校の設置主体である市町村行政や市町村議員に予算要望や質問なども可能になるでしょう。エアコンの設置や学校トイレをきれいにしてほしいなどの要望には、一部の声ではなくてまとまった声が必要です。そういう意味においても郡市PTAの役割は大きいわけです。
また県PTAがあることで、他の自治体との比較ができます。学校の教育環境も、実際には市町村ごとに大きな差異があるのですが、それも開かれた場で情報交換しないとなかなかわからないものです。県PTA連合での会議は貴重な情報交換の場になりえます。
このように、PTAが必要か不要かのまえに、それぞれのPTAがその役割を果たしているのかどうかが大切です。それだけPTAが果たすべき役割は地域に影響を与える力があると言えます。そのためにもよく言われる役員人選における摩擦や日頃の言葉かけなどは良心や思いやりなどで超えていけれればと思います。
安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)
[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中