これからの時代を担う子どもたちには自分たちの時代、親世代とは異なる形の教育の必要性を感じるといった声は90%にも上ります。そしてそれを学校に期待する声も高まるばかりです。
しかし時代の変化にともなう社会の歪みや問題の多くを、学校に受けとめてくれと言っても学校も万能ではありません。まず教職員不足は深刻です。全国では3000人を超える教員が不足しているとも言います。各学校では教頭先生も担任に入らざるを得ないとか、初任の先生の多くも担任に入り、精神的な負担もかなりのものと推察します。さらに産休育休の先生方の代替補充も簡単には進みません。部活動の地域移行も文科省が旗を振っても財源や地域協力の問題などなかなか前に進みません。学校の先生方の週当たりの勤務時間は平均で60時間近くになり、しかし海外では40時間ほどです。一方授業に充てる時間は日本も海外もあまり差異はありません。 したがって日本の教員は授業以外の業務や事務業務で業務過多になっていると推察されます。そして教員の職能開発にかける時間は海外の半分にも達していません。そんな中静岡県の富士市では教員の業務の低減のために地域サポーターが学校の草抜き、花壇の整備、フェンスのペンキ塗りや大掃除、自習の見守りまでも、自治体一丸となり取り組んでいます。それにより教員の方々の負担を減らし、教員不足も解消し、学校がより良く機能するために地域全体でその環境を守っています。
民間との連携となると予算も必要ですがボランティアで出来ることもあります。地域の学校の現状をヒアリングして、各PTAもわが子が通う学校や地域の持続的な健全運営のために力を貸すことが特に求められているときを迎えているとも言えます。
まずは地域の学校とコミュニケーションをとることから、わが子と関わる学校や地域の困りごとの解決に向かわれることは、大切な視点の一つではないかと思います。
安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)
[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中