近年、私たちは手元のスマートフォン一つで、あらゆる情報に簡単にアクセスできる時代に生きています。かつては、人を介し、人と交わらなければ得られなかった情報も、今では個人で完結できるようになりました。その利便性は確かに大きな恩恵です。
しかし一方で、社会というものは本来、さまざまな人が関わり合い、それぞれの役割を果たすことで成り立ってきました。多様な職業、多様な立場の人々が互いに補完し合うことで、私たちは安心・安全で、文化的にも経済的にも豊かな生活を享受しています。人と人とのつながりや役割分担は、社会の基盤であり、不可欠な要素であると感じます。
便利になった現代では、人と関わらなくても生きていける場面が増えました。しかし、人とのつながりは人間の幸福感と深く結びついているのではないでしょうか。例えば、離島や小さな地域社会では、助け合いが生活の前提となり、子どもも地域全体で育てられます。そこには煩わしさもあるかもしれませんが、その分、支え合いによる精神的な余裕や、深い安心感も生まれるでしょう。
祭りが長く続いている地域も同様です。準備や役割分担は決して楽ではありません。一方でやり遂げた後の達成感や共有される喜びは大きなものがあります。幼少期からスマートフォンなどデジタルデバイスが身近な現代の子どもにとっても、人と関わることを時に煩わしく感じることもあるかもしれません。しかし、そこを超えてでも人と関わるからこそ得られる幸福感や充実感を知ることは、将来社会に出たときの大切な土台になりえます。その意味で、まずは大人、親がその姿を背中で示すことも重要だと考えます。
PTA活動もまた、煩わしさや負担感が語られることの多い組織です。合理性や効率性だけを追求すれば「不要」と映る面もあるでしょう。しかし、一見無駄に見えるコミュニケーションや関わりが、実は幸福感を生み、何より孤独を和らげる役割を果たしていることも忘れてはなりません。
現代社会に広がる不機嫌の背景には、孤独があるように思います。孤独は人を不機嫌にし、不機嫌は子育てにも好ましい影響を与えません。その負の連鎖を断つためにも、人とのつながりに目を向けることも大切です。もちろん助け合いがベースの良好なつながりを形成する努力がそもそも大切なのは言うまでもありません。
またPTAは、保護者同士がつながり、声を集めることで、学校や教育委員会に対して要望を届ける力も持っています。単一の側面だけで判断するのではなく、多面的にその価値を捉え、より良い形を模索していくことが、これからのPTAに求められているのではないでしょうか。
安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)
[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中