何をするにも「機嫌よくやる」ことは、人生の質を左右する大切な鍵です。不機嫌なまま努力を重ねても、表面的には成果が出るかもしれませんが、後になって心の疲れや反動という“ツケ”を払うことになります。これは受験勉強にも当てはまります。不機嫌な努力はリバウンドのように精神的な負担を残しやすく、長続きしません。一方、機嫌よく前向きに取り組む勉強は、結果だけでなく心の成長も伴い、未来に良い循環を生み出します。
そのために欠かせないのが「仲間の存在」とも言えます。受験は一見個人戦のようでいて、実は団体戦でもあるとも言えるでしょう。仲間がいることで、励まし合い、競い合い、苦しい時でも前を向く力が生まれます。一人きりでは不安や逃げたい気持ちが膨らみやすいですが、仲間と関わることで不機嫌は希望に変わっていきます。学校での友人関係だけでなく、家庭や学校外の環境など、互いに支え合える環境づくりも大切です。
そして、子どもたちを支える大人にとって最も大切なツールは「言葉」です。言葉ひとつで、子どもの心の天気は晴れにも曇りにもなります。愛情のこもった言葉は、自然に磨かれた宝石のように、子どもの心を明るく照らし、やる気を引き出します。保護者は、結果だけを求める愛情ではなく、子どもの努力や可能性を信じて見守る愛情を持つことが求められます。そのことで子どもが安心安全に育まれることに繋がりやすくなるともいえるでしょう。
そう考えると、子どもの受験期は、子どもだけでなく親もまた自分を見つめ直す時期と言えるのかもしれません。子どもが機嫌よく努力できるよう、親もそっと優しく頑張る。笑顔で応援する。その中で、子どもも親も共に成長していくように、受験勉強は、点数を競う戦いばかりでなく、機嫌よく未来を切り拓くための人生の練習であるとも言えるのかもしれません。
保護者も「人」ですから心の天気が晴れの日ばかりではないでしょう。そんな時に励ましあえる保護者どうしの集まりなど、保護者も周りとのつながりの中でなるべく機嫌良く過ごせるようにありたいものです。がんばりましょう。
今日もどうか、「機嫌よく」過ごすことから始めてみると、きっとその笑顔が、子どもたちの最高のエネルギーにもなるのではないでしょうか。
安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)
[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中