給食費無償化

 2026年4月から、全国的に公立小中学校の給食費無償化実現へと大きく変化が訪れる予定です。
 これまでは給食費無償化の実現は各自治体に委ねられており、義務教育課程であるにもかかわらず自治体ごとの格差が大きく存在していました。これはとりもなおさず財源が自治体に委ねられていたからです。その自治体に住む公立小中学生とその保護者はその決定のもとに日々の暮らしを送るほかありませんでした。月額4,000円台、年額だと5万円前後に及ぶ給食費を無償にする自治体やそうでない自治体の格差の中で各家庭は生活していたわけです。
 三重県内の各自治体でも言うに及ばず様々な取り組みの違いがありました。そのような自治体ごとの違いを県Pで確認し、各郡市Pに持ち帰り議論して声を上げていくことで、それぞれの自治体に働きかけていくことも出来るわけです。
 さて、今後は全国でこの無償化の流れが一様に進んでいくわけですから、経済負担としては一安心と思うかもしれません。しかし盲点もあります。それは給食の質と量の問題です。昨今の物価高騰で食料品価格の高騰も現実的にいたるところで起こっています。自治体ごとの財源で給食経費負担をしていくならば、限られた財源の中で賄っていくわけですから、質と量にコントロールがかかる可能性もあります。これも一つの自治体間格差です。現実に「ご飯とみそ汁、唐揚げ一つに牛乳」という献立が、あまりにも質素だと先日ニュースにもなりました。もし、それぞれの自治体の給食メニューに著しい格差があるならば、県Pや郡市Pがともに考えていくことも必要になるかもしれません。お互いの立場をリスペクトしながら、いつも地域行政とともに解決していくスタンスで、当事者としてのPTAの声は大切になります。
 繰り返しますが、2026年4月、給食費無償化へと大きく変化していきます。子どもたちにとっての摂取必要カロリーなど基準はもちろんありますが、給食の質や量に自治体間格差がなるべく少ない状態であることを行政とともに目指しながら、また調理員さんの働く体制整備などの経費も存在するわけですから、無償だから大変になる側にも寄り添う姿勢も必要です。給食費無償だからこそ、子どもたちの近くにいるPTAも共に、町作り地域作りの一端を担っていくことがますます重要になろうかと思います。

安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)

[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中

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