今、子どもの自己肯定感の低下が叫ばれています。
すべて学校の先生依存でも解決しにくい現代の事情。
PTAもしっかり問題と向きあえる力が求められています。
最近、子どもたちを取り巻く教育環境を語るとき、子どもたちの能力を上げることよりも、まず子どもたちの自己肯定感を上げることが注目されてきています。
統計史上、子どものいじめは過去最多、虐待も過去最多、家庭の貧困率も過去最多、子どもの自殺も過去最多、社会全体の引きこもりも過去最多、子どもの不登校も過去最多・・・。そこにきて教職員の精神疾患割合も過去最多、教職員の採用試験倍率は過去最低つまりは教員の人手不足、教職員の残業時間は過去最高レベル・・・。そしてこのような教育環境の中、現代の日本の子どもの自己肯定感は諸外国に比べても圧倒的に低いデータがあります。
そういうわけで子どもの能力を上げることばかりではなく、自己肯定感にまずは目を向けないといけないのではないかという風潮です。しかし本来これは風潮レベルではなく、人口減少社会さらには少子化社会の中において、社会全体で対策を打たなければ国や地域社会の未来を支える姿さえ見えてこないことにもなりかねません。
データから見れば上記のように、子どもの自己肯定感を上げることを学校だけにお任せしていくのにも難しい現状があります。となると地域の方々一体で地域の子どもたちの自己肯定感を上げる取り組みを考えていくことが必要となります。特定の能力を上げるのは専門家の力も必要かもしれませんが、自己肯定感を上げるには一人一人の子どもに関わる大人の人数や温かい言葉の数々が有効かもしれません。そのための有効な仕組みがあればなお良いかもしれません。答えがあるから動き出すというより、正解になるまで工夫をしながら動いてみることの大切さが今まで以上に求められているかもしれません。
難しくても、最初はうまくいかなくても、知恵を出し合って、地域で勉強会をしたり、地元郡市に予算要望をしたり、仕組みを作るための話し合いを持ったり、個人ではできないことを皆で協力することで進めていくことの大切さも求められています。
PTAというのは子育て世代の保護者を中心に組織されています。そのPTAを意味あるものにするかどうかも関わる方々がそれをどう生かしていくかということでもあると思います。
安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)
[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中