前向きに、主体的に

教育環境は与えられるものではなく、一緒に創り上げていくもの。
前向きにみんなで協力して主体的に明るく。
PTAを通した教育環境への貢献も可能となります。

 さて、日本の有権者の約60%近くが50歳以上だと言われています。
 そしていわゆる子育て世代と言われる年代は有権者の約25%ほどだと言われています。
 さらに投票率も加味されるとなかなか子育て世代の思いは政治の現場に届きにくいのかもしれません。その影響かどうか、総教育支出対GDP比は日本は世界第107位、OECD諸国ワースト8位というデータもあります。
 冒頭から大きな話になってしまいましたが、身近な話に変えていきます。
 公立小学校教員の採用倍率は10年連続低下、教員不足や質への懸念は増しています。また教員の労働環境においても中学教師勤務時間は週56時間(OECD国際教員指導環境調査)でOECD諸国最長です。さらに公立学校教職員に占める精神疾患の割合も過去十年で最も多い状態(文部科学省公立学校教職員の人事行政状況調査)です。そこに加えて不登校児童生徒は毎年連続で増加、自殺した小中学生も過去最多となっています。これらの問題の解決を学校だけに求めても、データ上から類推するとなかなか難しいと言わざるを得ません。
 これらの解決策として、各自治体ではスクールカウンセラーなど様々に取組を重ねてきましたが、データを見る限り事態はなかなか改善していない状況です。そこで一部の自治体によっては部活動の地域移行など、これまで以上に積極的な民間資源との連携により地域の問題解決にあたっているケースもあります。そのことで学校教職員の働きかた改革や児童生徒が受ける教育の質の改善の一助にも繋がっていくようです。
 しかし、そうなってくるとそれに見合った教育財源を自治体が予算化していくことが必要になります。この予算化判断は各自治体行政が主になります。大きな柱は文部科学省管轄とはいうものの、細かい教育連携フットワークの類はほぼ地域行政が主となります。そうなると各地域の子育て世代が現状を学び、議論して、より良い教育環境に向けて地域行政にも働きかけることも重要になります。学校の教職員だけに解決を求めても状況的に容易ではないことは前述したとおりです。PTAだからこそ持ち得る視点で情報をオープンにしながら、地域のどんな問題をどう解決していくのか、あくまで明るく前向きに地域みんなで協力して、PTAの場をより良い教育環境に繋げていく貴重な機会、前向きな場にしていっていただくことも可能です。

安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)

[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中

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