公立小中学校の設置主体は市町村です。よって公立小中学校の教育環境への要望は市町教育委員会および首長や議会に対して郡市P連が声を出すことによって働きかけることができます。また県P連は各郡市の取組事例や各郡市の環境格差を知る場として有益な場であり、さらには県立高校入試の在り方など県教委に働きかけるに適した団体でもあります。
教育がどんどん様変わりしていく今、子どもたちが健やかに育つための公教育環境に対して、会合や研修で現状をまず知り、そして各会合で議論して、それぞれのPTA団体を通して保護者地域の声を上げることで地域の公教育環境をより良く変えていける力をPTAは有しています。
今、全国の不登校児童生徒は年々増える一方です。そこで文部科学書は令和元年に全国に向けて通知を発表しました。これは不登校でありながらもある一定の要件を満たせば、実は出席扱いにもなるし成績もきちんとつくというものです。しかし残念ながらこのことを知っている児童生徒や保護者はそう多くありません。なぜならその情報は児童生徒にも保護者にも十分積極的に伝えられているとはなかなか言えない状況にあるからです。さらに言えば学校教職員の中にも熟知している方がどれだけいるか。
2021年、全国の不登校児童生徒数は約25万人。9年連続上昇で過去最多となっています。そのなかで文部科学省の通知を利用して出席扱いになっている児童生徒は全国でもほんのひと握りのようです。おそらく児童生徒にも保護者にも十分な情報と方法が知らされてないからではないでしょうか。
学校外の学びや自宅でのICT学習などの記録、そして在籍する学校との連携があれば不登校でも出席になり、成績もつく、つまりは卒業後の進路もあきらめずに未来に前を向けるわけです。子どもたちのため、地域のため、未来のためにもこの制度はとても大切なのではないかと思います。詳しい出席要件や方法は、ここでは字数の制限もありますので、ぜひ「不登校 出席扱い」などキーワードで検索してみてください。
一人の力でなかなか突破できないことも、PTAだからこそ学べて広めて、そのことで子どもたちや地域のために繋げていくことも出来ます。一つ目の話題は不登校児童生徒のことでした。
次の話題は給食費の無償化です。今、全国の公立小中学校での給食費の無償化が進んでいます。しかし財源は各自治体のため、その財源がネックになり自治体間格差が生まれ始めているようです。給食は子どもの成長や発達に不可欠だけに、今財源に余裕のある自治体だけが無償化することの問題も指摘され始めています。
しかし自治体行政の予算も限られています。子どもたちの教育環境のことでましてや予算措置が必要な案件に対して、声を上げる民間機関がどれほどあるかと言えば実はそうは多くありません。PTAとして、知って考えて議論して、ときに声を上げることの大切さはこういうところにもあるわけです。
自分の自治体の状況は隣の自治体と比べてどうなのか、このあたりも県PTA連合会は各自治体の状況や取組を共に知り、学ぶ場として機能しています。
そして繰り返しになりますが、郡市P連として、最近の事例を知り、話し合って、場合によっては声をあげることもできることを知っていただき、より良い地域の教育環境作りに繋げていただければと思います。
安藤 大作(三重県PTA連合会 元会長)
[執筆者・安藤大作氏プロフィール]
平成23・24・25年度三重県PTA連合会 会長
平成25年度 (公社)日本PTA全国協議会 副会長
平成25年度 日本PTA全国研究大会 実行委員長
(公社)全国学習塾協会 会長
日本民間教育協議会 会長
(公財)日本数学検定協会 評議員
経済産業省 未来の教室とEdTech研究会 元委員
文部科学省 不登校に関する調査協力者委員会 元委員
総務省 令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」有識者検討会 有識者
三重県学力向上推進委員
株式会社安藤塾 代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい 理事長
FM三重にて「安藤大作エデュケーションラジオ」毎週放送中