
三重県PTA連合会
会長 木原 剛弘
近年の「人口減少」「少子高齢化」「共働き世帯の増加」「地域コミュニティの希薄化」「デジタル化の進展」「経済格差の拡大」など、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化し、また「いじめ」「不登校」「児童虐待相談対応件数の増加」「子どもの貧困」「ヤングケアラー」「インターネットトラブル」などの問題、新型コロナウイルス感染症による心身への影響など、子どもたちの置かれている状況は深刻さを増しているのではないでしょうか。
昨年度に条例改正された「三重県子ども条例」の前文は、いまの子どもたちを取り巻く環境について、次のように記しています。
『遊び時間や場所を奪われ、加えて、デジタル化の進展により、実体験や対面でのコミュニケーションの機会が十分に得られない子どもがいる。また、ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的にとらえることができず、生きづらさを感じている子どもがいる。さらに、児童虐待やいじめなどの権利侵害事例も多く発生している。』
急激な社会の変化にともない、学校教育の在り方を含め子どもたちを取り巻く環境が大きく変化をしているいまだからこそ、子どもたちの未来を考え、子どもたちの幸福を求め、行動しなければなりません。第四次教育振興基本計画で示された「日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上」は、子どもたちだけではなく、教職員など周りの大人たちも含めてたウェルビーイングの向上が必要であるとしています。
PTAとは何なのかを突き詰めて考えたとき、それは「子どもたちの幸福を願う」みなさんの想いなのだと確信しています。これは、設立以来色褪せない想いであるはずです。
私たちは子どもたちの幸福を願い、子どもたちの未来を考え、行動をする組織なのです。
教職員の働き方改革や、部活動の地域展開など、先送り出来ない課題について、理解を深めるべく情報を発信するとともに、子どもたちの幸福を願う組織として、関係各所に意見をしていくことも大切な役割のひとつであると考えています。
令和の日本型学校教育が、明治以降の日本における学校教育の本質的に大切な部分は継承しながら、社会の変化に対応し、新たな方法を取り入れていこうとするのと同じように、私たちも受け継がれる「子どもたちのために」という想いをしっかりと継承しながら、社会の変化に対応し、未来を見据え進化を続けていくことが必要です。
改正された「三重こども条例」の前文は、『全ての子どもが、権利の主体として、豊かで健やかに育ち、安全に安心して暮らすことができる三重を目指して、子どもをまんなかに相互に連携し、協働して、社会全体で取り組むことを決意し制定する。』と結んでいます。今年度75周年を迎える私たちも、先人達の想いをしっかりと継承し、県内各郡市との“つながり”を大切に、より一層の情報共有を図ることで、多様な問題の解決の一助となる活動をおこなうことを改めて決意し、昨年度に引き続き今年度のスローガンを「子どもたちの輝く未来のために!」としました。
引き続き、より一層のご理解、ご協力を切にお願い申し上げます。